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ドルインデックスが下落トレンドに転換? 過去のドル安局面を参考に投資戦略の再考を

 外為市場で米ドルの下落が際立ってきた。複数の主要通貨とドルの関係を指数化したドルインデックスは、今年3月16日に102ポイント台だったが、7月28日には93.5ポイント割れの水準に下落した。米国は新型コロナウイルスの感染者数が世界で断トツの1位を独走し、米FRBは28日にコロナ対策である緊急資金支援策について、期限を9月末から12月末まで3カ月延長すると発表。米国の金融緩和策は長期化する見通しが強まり、ドル安がトレンドとして定着するという見方もでてきた。ドルインデックスは、2014年からドル高に転じ、15年以降は100~95ポイント程度のボックス圏で安定していた。それが下落トレンドに転じれば、市場も大きな転換を余儀なくされよう。ドル安が続く局面での投資戦略も考えておきたい。

米国の金融政策は、直近6月の金融政策決定会合(FOMC)で政策金利(FFレート)を0.00~0.25%で据え置くことを全会一致で決定。その後明らかになったFOMCメンバーのFFレート見通し(メンバーの平均)は、2020年から22年まで全てが0.125%となり、22年まで利上げを行わない想定になっている。FRBは景気がV字型に回復するとは考えず、むしろ、一段と悪化することに備えて「あらゆる対策を実施する」(パウエル議長)という立場を明確にしている。

一方、米国政府は、これまで新型コロナウイルスの経済対策で2兆4000億ドル超を支出し、企業や家庭に現金給付を行っているが、与党・共和党は27日、これに上乗せして1兆ドル規模の追加支援策を議会に提案。民主党は、この提案に対し「規模が小さ過ぎる」と反発し、独自に3兆ドル規模の法案を用意しているとされ、経済対策案の協議には相当時間がかかるとみられている。政府の対応の遅れは、ロックダウン緩和によって回復しつつある経済に勢いを与える機会を逸してしまう恐れがある。

このような金融・財政政策への見方が、米ドルに対する評価を下げ、米国での新型コロナウイルス感染者数が拡大するたびに、ドルを押し下げる動きにつながっている。テクニカル分析では、ドルインデックスは既に下値支持線を下回り、ダウントレンドに入ったとみられており、ドルインデックスとは逆相関の動きをする金(ゴールド)が一段と値上がりしていることも、ドルの先安感の表れといわれている。

ドル安が継続すると想定し、前回のドル安局面での投信のパフォーマンスを調べた。2002年1月から08年3月までのモーニングスターインデックスの騰落率をみると、値上がり率のトップは「国際株式・中国(為替ヘッジあり)」、第2位は「国際株式・エマージング・単一国(為替ヘッジなし)」、そして、「国際株式・中国(為替ヘッジなし)」と、新興国株式ファンドの上昇が際立っている。

反面、ワースト1位は「国際REIT・グローバル・含む日本(為替ヘッジあり)」、その次に悪いのは「国際債券・オセアニア(為替ヘッジあり)」、「国際債券・エマージング・単一国(為替ヘッジなし)」だった。同じ新興国でも債券の成績は悪い。また、「国際株式・北米(為替ヘッジなし)」もワースト4位だったので、米国株式もドル安下では、良い投資対象ではなかったことがわかる。

2002年当時、世界のGDPランキングでは、中国は6位。アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランスの後塵を拝していた。中国は05年に5位、06年に4位に浮上し、2007年には3位に、そして、2010年に日本を抜いて第2位になる。2002年から08年までのドル安で、中国株式のパフォーマンスが良かったのは、この間、中国が世界の市場で年々存在感を増していたことと無縁ではない。ドル安でドル以外の通貨の価値が増す中、その中で勢いのある経済成長をしている中国に資金が集中したとみることができる。

さて、これからの成長国は、どこになるだろうか? 米中対立が激化しているように、米国が沈むと中国が相対的に浮上するという側面はあるだろう。新興国の株価は、ここ数年間は米国株価に劣後したパフォーマンスだっただけに、ドル安が浮上のきっかけになるかもしれない。もっとも、新興国は新型コロナウイルスの蔓延を抑えきれていない国も多い。さらに、新型コロナウイルスに対する有効なワクチンが早期に開発され、その有効性が証明されると、米国経済がいち早く回復するということも考えられる。不確実要素が多いため、何か1つの方向に絞って戦略を立てることはリスクがあるが、相場が一つの転換点を迎えているという認識を持って、次への備えをしておくことは重要だ。(図版は、2002年1月から2008年3月までのドルインデックス下落時のモーニングスターインデックス騰落率のベスト・ワースト5)