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新興国株式は今後6カ月間に投資チャンスを迎える=ドイチェ・アセットの新興国株式運用チーム責任者が語る

 ドイチェ・アセット・マネジメントは7月30日、機関投資家や販売会社向けに「新興国の投資環境と今後の市場見通し」をテーマにした電話セミナーを開催した。講師は、DWSグループのアジア太平洋地域チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)兼新興国株式運用チーム責任者のショーン・テイラー氏が務めた。テイラー氏は、「3月のコロナショックによる下落から、世界の株式市場は回復してきているが、夏には反発の反動で調整が予想される。その調整局面は新興国株式の絶好の買い場になると考えている」とし、そう考える理由を解説した。

テイラー氏が着目したのは、世界各地のPMI(購買担当者指数)が3月-4月に底を打って、5月-6月に回復傾向を強めていること。特に、中国は2月にPMIが一足早く底を打ったこともあって、5月以降は好不況の境目である50を超えて拡大傾向を示している。7月以降も、PMIの改善傾向は世界的に続くとみているが、「国や地域によって新型コロナウイルスの感染防止状況に差があり、経済回復のスピード感にも差が出てくることは注意が必要」としていた。

また、今後のGDP成長率も地域格差は出る。現在の2020年のGDP成長率予想は、米国がマイナス5.7%、欧州がマイナス7.5%、日本はマイナス5.5%、中国はプラス1.0%だ。「中国は20年末にもコロナ前の成長スピードを回復する可能性がある」とした。ただ、感染拡大第2波があって再びロックダウンが実施されるようなことになると、米国はマイナス7.5%、欧州はマイナス10.0%、日本はマイナス8.5%、中国もマイナス4.0%と、一段と厳しい状況が予想される。「世界の経済がコロナ前の水準に戻るのは2022年まで待たなければならないだろう」と見通していた。

新興国市場のGDP成長率見通しは、全体では2020年にマイナス1.0%、21年予想がプラス6%とみているが、その中でアジア地域は20年がマイナス0.1%、21年はプラス7.7%と他の地域に比較して落ち込みが小さく、21年の伸びも大きいと見通している(南米はマイナス5.7%、プラス3.1%、東欧はマイナス4.6%、プラス3.4%)。アジアの中では、中国が21年にプラス9%と大きな回復を見込む他、インドが20年にマイナス1.5%で21年はプラス8%、インドネシアがゼロ%、プラス5%、韓国がマイナス0.5%、プラス3.5%などと予想している。

アジア地域の経済成長については、米中貿易戦争の結果、中国に生産拠点を持っている企業が、中国にある生産工場を中国以外の国に分散させようという動きが顕著になっていることが影響している。台湾や日本、インドなどは外資系企業の誘致に優遇策を設けて迎え入れる姿勢を見せており、これらの投資を呼び込めれば成長率を引き上げる効果があるとみられる。ただし、中国に進出している米国企業は、「中国に残るだろう」(テイラー氏)とみられており、消費市場としての中国への期待は、米国企業にとっても依然として強いようだ。

また、香港の国家安全法については、香港経済にとっての影響は小さいという見方を示した。中国における香港の位置づけは、外国資本を中国に呼び込む玄関として依然として大きな地位を占めており、中国として香港を金融ハブとして維持することが重要と意識されていると語っていた。

このような経済成長率見通しに立って、「この夏に市場が調整局面を迎えた場合、新興国株式へのエントリーは良い機会になるだろう」と語り、新興国株式に広く投資するエマージングファンドなどに妙味があるとした。(1)先進国に対して高いGDP成長率が期待されること、(2)企業業績に改善の期待が強いこと、(3)株価の水準が先進国と比較して割安であること、(4)それぞれ自国の投資家が成長してきていること――などを新興国の優位性としてあげた。

新興国への国・地域別投資ポジションとしては、中国と韓国をオーバーウエイト、インド、台湾をニュートラル、その他のロシア、アセアン、南米、南アフリカ、トルコやサウジアラビアなど中東や東欧をアンダーウエイトとしていた。中国、韓国、台湾を除く新興国各国は、新型コロナウイルスの抑え込みが十分にできていないため、中長期的な成長期待はあるが、当面は厳しい状況が続くという見通しだった。(図版は、ドイチェ・アセット・マネジメントが設定・運用している主な新興国株式ファンドの過去1年間のトータルリターン推移)